1991.10.06 (Sun)
創作バレエ 『あとかたづけは』
【創作バレエ 『あとかたづけは』】
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1991年10月6日(日) 午後4時開演
ところ : 長崎市公会堂
【第1部】
姪から手紙が来ました。
グレリット伯母さんは毎月、可愛い姪達に本を送っていました。
そして、お礼の手紙や本の感想が届くことが、何より楽しみでした。
今日は、どのような事を書いてきたのかしら、さっそく手紙を読み始めました。
伯母様、私達はとっても素晴らしい体験をしました。
そして、深く反省いたしました。
ある夜のことです。 月の色がグリーンに変わっていましたので、妹も私も驚いてしまいました。
翌朝、母にその事を話しましたが、笑って信じてもらえませんでした。

グリーンの月は何日も続きました。
私たちの目が悪くなっているのかしらと、心配になってきました。
ある朝、目が覚めると目の前に、メルヘンの主人公やキャラクター達がいます。
私達はとうとう目がおかしくなったのだわ。
妹が夢かもしれないわと言うので、お互いのほっぺたをつねってみました。
痛い、夢ではないわ、私達はどうしたのでしょう。
すると、長靴をはいた猫が私達に話しかけてきたのです。
「お二人を驚かせてすみません。 大事な事をお伝えするために、ここへやってきました。 実は、いつもお二人の部屋が散らかっているので、大変困っているのです。 使ったものは元の位置に戻して、大切に使っていただかないと、メルヘンの世界の悪の部屋の鍵が開いて、魔王が現われ、おおあばれするのです。 そればかりか、人間の世界も争いが絶えなくなり、大変なことになるのです。 残念なことに、もう悪の部屋の鍵が開くのは、時間の問題となってきています。 それは、月がグリーンに見えるからです。 私達はメルヘンの使者として、世界中の子供達に忠告して回っているのです。」
私達姉妹のために大変な事態になったことを知り、心からメルヘンの使者たちに謝りました。
それでは片付けましょうと、私の部屋を皆で片付けていると、愛犬のダンボが飛び込んで来て、大混乱になってしまいました。
私と妹はダンボを追いかけましたが、なかなか捕まりません。
やっとのことで、ダンボは私達の部屋から出て行きました。
メルヘンの使者たちは、庭に逃げ出してしまいました。
私達が庭に来て見ると、ティンカーベルの魔法の杖が折れて、皆が困っていました。
この魔法の杖で人間の世界に来たのですが、折れてしまったのでは、メルヘンの世界に帰ることが出来ません。
ダンボ騒動で、ほんとうに困った事になってしまいました。
すると、ティンカーベルが思い出したように
「月下美人の花が咲いた時に、私の魔法が使うことが出来ます。 月下美人を捜して下さい。」
と皆に告げました。
さっそく皆で、手分けして捜す事にしました。
私と妹に赤頭巾ちゃんは
「月下美人を捜すには、幼精に聞いた方がはやく見つけることが出来るかもしれません。 そのためには、お二人の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせるのです。」
と教えて下さいました。
赤頭巾ちゃんを信じて、この庭で四ッ葉のクローバーを捜すことにしました。
やっと四ッ葉のクローバーを見つけました。
私は頭の上に四ッ葉のクローバーをのせました。
すると、どうでしょう。 あっというまに三人の幼精が見えました。
なんてステキな幼精でしょう。
三ッ葉で飾られていましたので、三ッ葉の精とわかりました。
うっとりしていると、妹が、私にも見せてという声に、私は我にかえり、妹の頭の上に私の四ッ葉のクローバーをのせてあげました。
妹も感激していました。
私は妹から又、四ッ葉のクローバーを頭の上にのせてもらい、月下美人の事を三ッ葉の精に尋ねました。
三ッ葉の精は
「知りません。」
と首を横に振りました。
がっかりしました。
すると、三ッ葉の精がさっと四ッ葉のクローバーを出して
「これで、妹さんも幼精とお話が出来るでしょう。」
と妹の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせて下さいました。
妹は大変喜びました。
そして私達は、三ッ葉の精にお礼を言って別れました。
なかなか月下美人は、見つかりません。
メルヘンの使者達も、やはり尋ね回りましたが、月下美人は見つかりませんでした。
庭の奥で何やらこそこそと音がするので、皆で行って見ると、なんと蜘蛛でした。
もう恐ろしくて、家に逃げ帰りました。
妹がお腹がすいたと、べそをかいています。
そういえば今日は、朝から何も食べていませんでした。
私達は家族に知られないように、メルヘンの使者達を台所に連れてきました。
サンドイッチを作って、皆で食べましょうと、パンを取り出しますと、パンの精が現われ、冷蔵庫を開け、サンドイッチの材料を取り出すたびに、幼精が現われ、踊り始めました。
それは、それは、愉快な踊りでした。
一寸法師さんが
「これは何ですか。」
と白い箱を開けると、チェリー、くるみ、チョコレートクッキーに、バタークリームで飾られたケーキでした。
ケーキの精が現われ、私達のために踊ってくれました。
とっても可愛い幼精でした。
お腹がいっぱいになったところで、のどが渇きました。
ミルクを冷蔵庫から取り出そうとすると、又幼精が現われ
「私は、プラウニーと言う幼精です。 私にもミルクを下さい。 その変りに、私が汚れたお皿やコップなど、綺麗に洗ってさしあげましょう。」
と言いますので、ミルクを分けてあげました。
皆がミルクを飲みほしますと、プラウニーは何やら呪文を唱え始めました。
すると、いつのまにか泡が出てきて汚れた食器は、泡の精の中で洗われました。
台所は、どんどん泡だらけになり、私達はとうとう溺れそうになりました。
助けてと大声で呼んでいますと、ダンボが来て助けてくれました。
とんだ災難でした。
そこへ、またまた幼精が現われ
「私は予知能力を持つマリーンです。 メルヘンの世界が、あぶなくなります。 悪の部屋が開いて、魔王がメルヘンのお姫様をさらって行ってしまいます。」
と、私達に告げると、消えてしまいました。
今マリーンの告げたことがほんとうだと、ボヤボヤしていられません。
早く月下美人を捜さないと大変です。
日はもうとっくに沈み、暗くなっていました。
私達はそうっと家を抜け出し、夜の町へ出かけました。
私達姉妹とシンデレラ姫と青い鳥と歩いていると、どら猫がたくさん集まっている所に来てしまいました。
「どら猫さんは、いろんな所を歩いているので、月下美人のことを知っているかもしれません。」
とシンデレラ姫が言いますので、私はどら猫さんに尋ねる事にしました。
「私達はいろんな所を歩いて、いろんな花とも出逢いますが、残念なことにお花さんとはお話し出来ないので、どのお花が月下美人なのか知らないのです。 でも、星さんだと晴れた日にはいつも、空から見渡していますので、きっと月下美人のことを知っていると思います。」
とどら猫さんは教えてくれました。
青い鳥は星さんに逢いに飛んで行き、私達の所に戻ってきました。
「見つかりました。 月下美人は、この近くですよ。」
青い鳥に皆ついて行きました。
ティンカーベルが
「ありました。 この花です。」
やっと、月下美人を見つけました。
【第2部】
魔王が影の女王を招待して宴会をしています。
大きな鳥籠にさらわれたメルヘンのお姫様が入れられて悲しんでいます。
鬼やおおかみは、魔王の侍女達や悪の精の踊りで楽しんでいます。
伯母様、私達は月下美人の花が咲くのを待ち続けました。
お姫様は大丈夫でしょうか。
皆は不安になってきました。
すると、メルヘンの女神が現われ
「勇気を持ちなさい。 お姫様は無事救えます。 魔王は悪の部屋に戻り、又平和なメルヘンになるでしょう。」
と告げると消えてしまいました。
そして、楽しい音楽が聞こえてきました。
「あれはレプラホーンと言って、踊りが大好きな幼精なのです。」
と笑わないお姫様が教えて下さいました。
レプラホーンは私達にきのこ取りの踊りを踊ってくれました。
私達も一緒に踊り始めましたが、その時です。
ものすごい音とともに、月下美人の花が開き始めました。
そして、月下美人の幼精がたくさん現われました。
なんと美しい幼精でしょう。
私と妹は感激しました。
ティンカーベルは、月下美人の幼精に囲まれながら、魔法を唱え始めました。
すると、メルヘンの使者達は次から次へと消えてしまいました。
私と妹は、お姫さまが無事でありますように一生懸命に祈りました。
とつぜん、お姉さん月の色を見てと言う妹の声に月を見ますと、グリーン色だった月が元の色に戻っていました。
私と妹は喜び合いました。
ふと目の前にティンカーベルが現われ
「魔王を悪の部屋に閉じ込め、鍵をかけました。 人間の子供達が忠告を守って下さる限り、決して悪の部屋の鍵は開くことはないでしょう。 お姫様は平和なメルヘンに帰られましたので、王様やお妃様は、大変喜ばれました。 お二人をメルヘンに招待するようにと言われ、お迎えに参りました。 さあメルヘンへ。」
伯母様、私達はメルヘンへ招待されました。
お城には王様とお妃様、そしてお姫様、もちろんメルヘンの使者達がいました。
長靴をはいた猫、青い鳥、シンデレラ姫、赤頭巾ちゃん、一寸法師、笑わないお姫様にティンカーベル、ほんとうにありがとうございました。
私と妹は、王様とお妃様にいつも部屋を綺麗にしていなかったことをお詫びしました。
そして、ご招待して下さった事をお礼を言いました。
長靴をはいた猫さんが剣を上げると、楽しいメルヘンの踊りが、くりひろげられました。
私も妹も踊っているうちに、いつのまにか、自分の部屋に戻っていました。
私達は、やはり夢を見ていたのでしょうか。
伯母様、私も妹も夢だとは信じたくありません。
メルヘンの人達に逢えて、あとかたづけをしないと、皆に迷惑をかけるという、大事な事を体験しました。
最近、母は
「あとかたづけは。」
と言わなくなりました。
伯母様、私も妹も本を送って下さることを楽しみに待っています。
伯母様大好きです。
グレリット伯母さんが、姪の手紙を読み終えた時は、夜になっていました。
グレリット伯母さんは、この頃、月をながめることなど忘れていましたが、月を見たくなりました。
月は黄金のように、まぶしく、グレリット伯母さんの家をやさしく照らしていました。
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1991年10月6日(日) 午後4時開演
ところ : 長崎市公会堂
【第1部】

グレリット伯母さんは毎月、可愛い姪達に本を送っていました。
そして、お礼の手紙や本の感想が届くことが、何より楽しみでした。
今日は、どのような事を書いてきたのかしら、さっそく手紙を読み始めました。
伯母様、私達はとっても素晴らしい体験をしました。
そして、深く反省いたしました。
ある夜のことです。 月の色がグリーンに変わっていましたので、妹も私も驚いてしまいました。
翌朝、母にその事を話しましたが、笑って信じてもらえませんでした。

グリーンの月は何日も続きました。
私たちの目が悪くなっているのかしらと、心配になってきました。
ある朝、目が覚めると目の前に、メルヘンの主人公やキャラクター達がいます。
私達はとうとう目がおかしくなったのだわ。
妹が夢かもしれないわと言うので、お互いのほっぺたをつねってみました。
痛い、夢ではないわ、私達はどうしたのでしょう。
すると、長靴をはいた猫が私達に話しかけてきたのです。
「お二人を驚かせてすみません。 大事な事をお伝えするために、ここへやってきました。 実は、いつもお二人の部屋が散らかっているので、大変困っているのです。 使ったものは元の位置に戻して、大切に使っていただかないと、メルヘンの世界の悪の部屋の鍵が開いて、魔王が現われ、おおあばれするのです。 そればかりか、人間の世界も争いが絶えなくなり、大変なことになるのです。 残念なことに、もう悪の部屋の鍵が開くのは、時間の問題となってきています。 それは、月がグリーンに見えるからです。 私達はメルヘンの使者として、世界中の子供達に忠告して回っているのです。」
私達姉妹のために大変な事態になったことを知り、心からメルヘンの使者たちに謝りました。
それでは片付けましょうと、私の部屋を皆で片付けていると、愛犬のダンボが飛び込んで来て、大混乱になってしまいました。
私と妹はダンボを追いかけましたが、なかなか捕まりません。
やっとのことで、ダンボは私達の部屋から出て行きました。
メルヘンの使者たちは、庭に逃げ出してしまいました。
私達が庭に来て見ると、ティンカーベルの魔法の杖が折れて、皆が困っていました。
この魔法の杖で人間の世界に来たのですが、折れてしまったのでは、メルヘンの世界に帰ることが出来ません。
ダンボ騒動で、ほんとうに困った事になってしまいました。
すると、ティンカーベルが思い出したように
「月下美人の花が咲いた時に、私の魔法が使うことが出来ます。 月下美人を捜して下さい。」
と皆に告げました。
さっそく皆で、手分けして捜す事にしました。
私と妹に赤頭巾ちゃんは
「月下美人を捜すには、幼精に聞いた方がはやく見つけることが出来るかもしれません。 そのためには、お二人の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせるのです。」
と教えて下さいました。
赤頭巾ちゃんを信じて、この庭で四ッ葉のクローバーを捜すことにしました。
やっと四ッ葉のクローバーを見つけました。
私は頭の上に四ッ葉のクローバーをのせました。
すると、どうでしょう。 あっというまに三人の幼精が見えました。
なんてステキな幼精でしょう。
三ッ葉で飾られていましたので、三ッ葉の精とわかりました。
うっとりしていると、妹が、私にも見せてという声に、私は我にかえり、妹の頭の上に私の四ッ葉のクローバーをのせてあげました。
妹も感激していました。
私は妹から又、四ッ葉のクローバーを頭の上にのせてもらい、月下美人の事を三ッ葉の精に尋ねました。
三ッ葉の精は
「知りません。」
と首を横に振りました。
がっかりしました。
すると、三ッ葉の精がさっと四ッ葉のクローバーを出して
「これで、妹さんも幼精とお話が出来るでしょう。」
と妹の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせて下さいました。
妹は大変喜びました。
そして私達は、三ッ葉の精にお礼を言って別れました。
なかなか月下美人は、見つかりません。
メルヘンの使者達も、やはり尋ね回りましたが、月下美人は見つかりませんでした。
庭の奥で何やらこそこそと音がするので、皆で行って見ると、なんと蜘蛛でした。
もう恐ろしくて、家に逃げ帰りました。
妹がお腹がすいたと、べそをかいています。
そういえば今日は、朝から何も食べていませんでした。
私達は家族に知られないように、メルヘンの使者達を台所に連れてきました。
サンドイッチを作って、皆で食べましょうと、パンを取り出しますと、パンの精が現われ、冷蔵庫を開け、サンドイッチの材料を取り出すたびに、幼精が現われ、踊り始めました。
それは、それは、愉快な踊りでした。
一寸法師さんが
「これは何ですか。」
と白い箱を開けると、チェリー、くるみ、チョコレートクッキーに、バタークリームで飾られたケーキでした。
ケーキの精が現われ、私達のために踊ってくれました。
とっても可愛い幼精でした。
お腹がいっぱいになったところで、のどが渇きました。
ミルクを冷蔵庫から取り出そうとすると、又幼精が現われ
「私は、プラウニーと言う幼精です。 私にもミルクを下さい。 その変りに、私が汚れたお皿やコップなど、綺麗に洗ってさしあげましょう。」
と言いますので、ミルクを分けてあげました。
皆がミルクを飲みほしますと、プラウニーは何やら呪文を唱え始めました。
すると、いつのまにか泡が出てきて汚れた食器は、泡の精の中で洗われました。
台所は、どんどん泡だらけになり、私達はとうとう溺れそうになりました。
助けてと大声で呼んでいますと、ダンボが来て助けてくれました。
とんだ災難でした。
そこへ、またまた幼精が現われ
「私は予知能力を持つマリーンです。 メルヘンの世界が、あぶなくなります。 悪の部屋が開いて、魔王がメルヘンのお姫様をさらって行ってしまいます。」
と、私達に告げると、消えてしまいました。
今マリーンの告げたことがほんとうだと、ボヤボヤしていられません。
早く月下美人を捜さないと大変です。
日はもうとっくに沈み、暗くなっていました。
私達はそうっと家を抜け出し、夜の町へ出かけました。
私達姉妹とシンデレラ姫と青い鳥と歩いていると、どら猫がたくさん集まっている所に来てしまいました。
「どら猫さんは、いろんな所を歩いているので、月下美人のことを知っているかもしれません。」
とシンデレラ姫が言いますので、私はどら猫さんに尋ねる事にしました。
「私達はいろんな所を歩いて、いろんな花とも出逢いますが、残念なことにお花さんとはお話し出来ないので、どのお花が月下美人なのか知らないのです。 でも、星さんだと晴れた日にはいつも、空から見渡していますので、きっと月下美人のことを知っていると思います。」
とどら猫さんは教えてくれました。
青い鳥は星さんに逢いに飛んで行き、私達の所に戻ってきました。
「見つかりました。 月下美人は、この近くですよ。」
青い鳥に皆ついて行きました。
ティンカーベルが
「ありました。 この花です。」
やっと、月下美人を見つけました。
【第2部】
魔王が影の女王を招待して宴会をしています。
大きな鳥籠にさらわれたメルヘンのお姫様が入れられて悲しんでいます。
鬼やおおかみは、魔王の侍女達や悪の精の踊りで楽しんでいます。
伯母様、私達は月下美人の花が咲くのを待ち続けました。
お姫様は大丈夫でしょうか。
皆は不安になってきました。
すると、メルヘンの女神が現われ
「勇気を持ちなさい。 お姫様は無事救えます。 魔王は悪の部屋に戻り、又平和なメルヘンになるでしょう。」
と告げると消えてしまいました。
そして、楽しい音楽が聞こえてきました。
「あれはレプラホーンと言って、踊りが大好きな幼精なのです。」
と笑わないお姫様が教えて下さいました。
レプラホーンは私達にきのこ取りの踊りを踊ってくれました。
私達も一緒に踊り始めましたが、その時です。
ものすごい音とともに、月下美人の花が開き始めました。
そして、月下美人の幼精がたくさん現われました。
なんと美しい幼精でしょう。
私と妹は感激しました。
ティンカーベルは、月下美人の幼精に囲まれながら、魔法を唱え始めました。
すると、メルヘンの使者達は次から次へと消えてしまいました。
私と妹は、お姫さまが無事でありますように一生懸命に祈りました。
とつぜん、お姉さん月の色を見てと言う妹の声に月を見ますと、グリーン色だった月が元の色に戻っていました。
私と妹は喜び合いました。
ふと目の前にティンカーベルが現われ
「魔王を悪の部屋に閉じ込め、鍵をかけました。 人間の子供達が忠告を守って下さる限り、決して悪の部屋の鍵は開くことはないでしょう。 お姫様は平和なメルヘンに帰られましたので、王様やお妃様は、大変喜ばれました。 お二人をメルヘンに招待するようにと言われ、お迎えに参りました。 さあメルヘンへ。」
伯母様、私達はメルヘンへ招待されました。
お城には王様とお妃様、そしてお姫様、もちろんメルヘンの使者達がいました。
長靴をはいた猫、青い鳥、シンデレラ姫、赤頭巾ちゃん、一寸法師、笑わないお姫様にティンカーベル、ほんとうにありがとうございました。
私と妹は、王様とお妃様にいつも部屋を綺麗にしていなかったことをお詫びしました。
そして、ご招待して下さった事をお礼を言いました。
長靴をはいた猫さんが剣を上げると、楽しいメルヘンの踊りが、くりひろげられました。
私も妹も踊っているうちに、いつのまにか、自分の部屋に戻っていました。
私達は、やはり夢を見ていたのでしょうか。
伯母様、私も妹も夢だとは信じたくありません。
メルヘンの人達に逢えて、あとかたづけをしないと、皆に迷惑をかけるという、大事な事を体験しました。
最近、母は
「あとかたづけは。」
と言わなくなりました。
伯母様、私も妹も本を送って下さることを楽しみに待っています。
伯母様大好きです。
メアリー .
グレリット伯母さんが、姪の手紙を読み終えた時は、夜になっていました。
グレリット伯母さんは、この頃、月をながめることなど忘れていましたが、月を見たくなりました。
月は黄金のように、まぶしく、グレリット伯母さんの家をやさしく照らしていました。
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