2008.10.19 (Sun)
創作バレエ 『両親からの贈り物』
【創作バレエ 『両親からの贈り物』】
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 2008年10月19日(日) 午後1時30分開演
ところ : 長崎市公会堂
【1幕】
○発表会
・エチュード
・ザリガニ
・真珠と魚
・鳥になりたい魚
・鳥になった魚
・花の精
・花遊び
・フィナーレ
○両親からの贈り物
両親から発表会のお祝いに
胡桃割り人形の本を頂きました。
さっそく本を開き読み始めましたが
眠ってしまいました。
【2幕】
○私が夢の中で見たお菓子の国
・胡桃割り人形
・チョコレートの精
・コーヒーの精
・お茶の精
・胡桃の踊り
・砂糖菓子の精
・コンペイ糖の精
・生クリームの精
○夢から覚めて
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 2008年10月19日(日) 午後1時30分開演
ところ : 長崎市公会堂

○発表会
・エチュード
・ザリガニ
・真珠と魚
・鳥になりたい魚
・鳥になった魚
・花の精
・花遊び
・フィナーレ
○両親からの贈り物
両親から発表会のお祝いに
胡桃割り人形の本を頂きました。
さっそく本を開き読み始めましたが
眠ってしまいました。
【2幕】
○私が夢の中で見たお菓子の国
・胡桃割り人形
・チョコレートの精
・コーヒーの精
・お茶の精
・胡桃の踊り
・砂糖菓子の精
・コンペイ糖の精
・生クリームの精
○夢から覚めて
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2005.10.22 (Sat)
創作バレエ 『発表会』
1994.07.22 (Fri)
創作バレエ 『魔法使いになったフーちゃん』
【創作バレエ 『魔法使いになったフーちゃん』】
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1994年7月22日(金) 午後6時30分開演
ところ : 長崎市公会堂
「なんて美しい星でしょう。」
はじめてこの星を見て、警備隊の一人は思わず声を上げました。
地球を出発して7年の歳月が経っていましたが、これほど美しい星を見たことはありません。
隊員が警備船の望遠レンズを覗いてみると、女の子がほうきに乗った図柄の旗がたくさん目に入ってきました。
この星のことを調べてみると、星の名は「キトン」。
地球と大きさや自然条件がよく似ていて住んでいる人々も地球人と区別がつかない程似ているようです。
さらに興味深いのは80年前、当時「キトン」は、惑星の中でも最も醜い星の一つとされていたことです。
その当時の「キトン」では、国々が常時戦乱に巻き込まれ、そのため自然破壊が進み、「キトン」に住む人々は先行き不安な毎日を過ごしていました。
そんなある日、ほうきに乗った一人の女の子が突然現われ、戦乱のキトンの子供達を一人のこらずどこかへ連れ去ってしまうという大事件が起きました。
大人達が子供の行方を捜すことに夢中になっているうちに、いつのまにか戦争をしている国はなくなりました。
「子供達はどこへ!」
あらゆる国を捜した末、やっとのことで子供達の居場所を突き止めることができました。
子供達は「プルプル島」で仲良く暮らしていました。
子供達の幸せな笑顔をはじめて見た大人達は、熱い涙を流しました。
その後、人々の努力の結果、「キトン」には平和な生活と美しい自然が戻りました。
そして、「キトン」の象徴として、女の子がほうきに乗った図柄の旗が星中の国々に立てられました。
この女の子は、「プルプル島」に生まれ、幼いころには風船みたいに太っていたのでフーちゃんと名付けられました。
フーちゃんは、いろんな空想をして考える事が大好きな9才の女の子になりました。
ある日のこと、フーちゃんが野原でお花を摘んでいると大きな蟻が現われました。
フーちゃんは、ちょっとびっくりしましたが、一生懸命に働いている蟻をみて、お花を摘むことに夢中で野原を荒らしてしまったことに気がつきました。
「蟻さん、大切な野原を荒らしてごめんなさい」
フーちゃんは、あやまりました。
蟻はフーちゃんの顔をしばらくみると、ゆっくりとお花畑の中に歩いていきました。
そこにはきれいな色をした石がありました。
その石は、フーちゃんの宝物になりました。
12才になったフーちゃんはジョギングを始めました。
森の小道を走ると風がフーちゃんにささやきます。
「野原へ行きましょう。」
風にさそわれて野原に来たフーちゃんは、風に乗ってワルツを踊っているタンポポの精を見て感動しました。
「なんて素敵なワルツでしょう。」
フーちゃんは、とても幸せな気持ちになりました。
また風がフーちゃんにささやきました。
「麦畑に行きましょう。」
フーちゃんは、また風にさそわれ麦畑に来ました。
かかしは寂しそうに立っていました。
フーちゃんは空想しました。
すると、かかしは両足で歩くことが出来るようになり大喜び。
金色色の麦の精も現われ、二人で楽しく踊り始めました。
フーちゃんは毎朝ジョギングをして頑張りました。
ある朝、いつものようにジョギングから帰ってきたフーちゃんは、うっかりごみ箱を倒してしまい、お部屋には紙屑だらけになってしまいました。
「まあ、どうしましょう。 でも、こんなにたくさんの紙を何につかったのかしら。」
フーちゃんが考えていると、お母さんの声がします。
慌ててモップを持ってきて片付けました。
「あら、片付けたはずの紙屑・・・。」
まだひとつ残っていました。
ふと見ると、変わった文字がたくさん書いてあります。
何が書いてあるのかフーちゃんには読めません。
お母さんにたずねることにしました。
お母さんは最初、ちょっと困った顔をされましたが、やさしくフーちゃんを呼びよせ読んでくださいました。
「今、『キトン』の国々の間では戦争が絶えることなく起こっています。 誰もが傷つき、罪もないたくさんの人が死んでいきます。 悲しみのなかに残された人たちは、食べ物も、住むところもありません。 子供たちも、悲しい思いをしています。 そして、いつの日か『プルプル島』も戦火に焼かれる日がくるでしょう・・・」
フーちゃんは、お母さんの話を聞いているうちにとても悲しくなって泣いてしまいました。
それからフーちゃんは毎日、9才のときに拾った宝物の石に願い事をするようになりました。
15才になったとき、いつものように願い事をしていると石が突然、キラキラと輝き綺麗な女の人が現われ、「私はキトンの女神。 あなたのやさしく、素直な心に逢いにきました。 きょうは一つだけあなたの願いをかなえてあげましょう。」
フーちゃんは、「私を、魔法使いにしてください」と言いました。
キトンの女神は、フーちゃんが、そのときのひらめきで魔法使いになろうと思ったのではないことを、ずっと前から見ていて御存知でした。
「それでは、願いをかなえてあげます。 でも、魔法使いでいられるのは3ヶ月の間だけですよ。」
フーちゃんは、念願の魔法使いになりました。
そして、今までの3年間考えていたことを実行できる日がやってきたのです。
「女神様、ありがとうございます。」
フーちゃんは女神様にお礼を言いました。
「これから何がおころうとも、私が守っています。 勇気をもって、精一杯おやりなさい。」
女神様に励まされて、フーちゃんはほうきに乗って、大空に飛び出しました。
なれないほうきに乗ったフーちゃんはなんとか、戦っている国にたどり着き、次々と子供達を魔法でプルプル島に運びました。
3ヶ月間、フーちゃんは休まず子供達を救いました。
プルプル島の人々が子供たちのために協力しあったおかげで、子供達は仲良く生活できるようになりました。
そして今日は、平和を祈って各国の子供達が踊りをくりひろげます。
「旗が掲げられて80年もたっているというのに、ほんとうに美しい星だこと。」
隊員達は、地球の人々にこの「キトン」のことを早く話したいという想いで、警備船の窓から、だんだん小さくなっていく「キトン」をいつまでも見つめていました。
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1994年7月22日(金) 午後6時30分開演
ところ : 長崎市公会堂

はじめてこの星を見て、警備隊の一人は思わず声を上げました。
地球を出発して7年の歳月が経っていましたが、これほど美しい星を見たことはありません。
隊員が警備船の望遠レンズを覗いてみると、女の子がほうきに乗った図柄の旗がたくさん目に入ってきました。
この星のことを調べてみると、星の名は「キトン」。
地球と大きさや自然条件がよく似ていて住んでいる人々も地球人と区別がつかない程似ているようです。
さらに興味深いのは80年前、当時「キトン」は、惑星の中でも最も醜い星の一つとされていたことです。
その当時の「キトン」では、国々が常時戦乱に巻き込まれ、そのため自然破壊が進み、「キトン」に住む人々は先行き不安な毎日を過ごしていました。
そんなある日、ほうきに乗った一人の女の子が突然現われ、戦乱のキトンの子供達を一人のこらずどこかへ連れ去ってしまうという大事件が起きました。
大人達が子供の行方を捜すことに夢中になっているうちに、いつのまにか戦争をしている国はなくなりました。
「子供達はどこへ!」
あらゆる国を捜した末、やっとのことで子供達の居場所を突き止めることができました。
子供達は「プルプル島」で仲良く暮らしていました。
子供達の幸せな笑顔をはじめて見た大人達は、熱い涙を流しました。
その後、人々の努力の結果、「キトン」には平和な生活と美しい自然が戻りました。
そして、「キトン」の象徴として、女の子がほうきに乗った図柄の旗が星中の国々に立てられました。
この女の子は、「プルプル島」に生まれ、幼いころには風船みたいに太っていたのでフーちゃんと名付けられました。
フーちゃんは、いろんな空想をして考える事が大好きな9才の女の子になりました。
ある日のこと、フーちゃんが野原でお花を摘んでいると大きな蟻が現われました。
フーちゃんは、ちょっとびっくりしましたが、一生懸命に働いている蟻をみて、お花を摘むことに夢中で野原を荒らしてしまったことに気がつきました。
「蟻さん、大切な野原を荒らしてごめんなさい」
フーちゃんは、あやまりました。
蟻はフーちゃんの顔をしばらくみると、ゆっくりとお花畑の中に歩いていきました。
そこにはきれいな色をした石がありました。
その石は、フーちゃんの宝物になりました。
12才になったフーちゃんはジョギングを始めました。
森の小道を走ると風がフーちゃんにささやきます。
「野原へ行きましょう。」
風にさそわれて野原に来たフーちゃんは、風に乗ってワルツを踊っているタンポポの精を見て感動しました。
「なんて素敵なワルツでしょう。」
フーちゃんは、とても幸せな気持ちになりました。
また風がフーちゃんにささやきました。
「麦畑に行きましょう。」
フーちゃんは、また風にさそわれ麦畑に来ました。
かかしは寂しそうに立っていました。
フーちゃんは空想しました。
すると、かかしは両足で歩くことが出来るようになり大喜び。
金色色の麦の精も現われ、二人で楽しく踊り始めました。
フーちゃんは毎朝ジョギングをして頑張りました。
ある朝、いつものようにジョギングから帰ってきたフーちゃんは、うっかりごみ箱を倒してしまい、お部屋には紙屑だらけになってしまいました。
「まあ、どうしましょう。 でも、こんなにたくさんの紙を何につかったのかしら。」
フーちゃんが考えていると、お母さんの声がします。
慌ててモップを持ってきて片付けました。
「あら、片付けたはずの紙屑・・・。」
まだひとつ残っていました。
ふと見ると、変わった文字がたくさん書いてあります。
何が書いてあるのかフーちゃんには読めません。
お母さんにたずねることにしました。
お母さんは最初、ちょっと困った顔をされましたが、やさしくフーちゃんを呼びよせ読んでくださいました。
「今、『キトン』の国々の間では戦争が絶えることなく起こっています。 誰もが傷つき、罪もないたくさんの人が死んでいきます。 悲しみのなかに残された人たちは、食べ物も、住むところもありません。 子供たちも、悲しい思いをしています。 そして、いつの日か『プルプル島』も戦火に焼かれる日がくるでしょう・・・」
フーちゃんは、お母さんの話を聞いているうちにとても悲しくなって泣いてしまいました。
それからフーちゃんは毎日、9才のときに拾った宝物の石に願い事をするようになりました。
15才になったとき、いつものように願い事をしていると石が突然、キラキラと輝き綺麗な女の人が現われ、「私はキトンの女神。 あなたのやさしく、素直な心に逢いにきました。 きょうは一つだけあなたの願いをかなえてあげましょう。」
フーちゃんは、「私を、魔法使いにしてください」と言いました。
キトンの女神は、フーちゃんが、そのときのひらめきで魔法使いになろうと思ったのではないことを、ずっと前から見ていて御存知でした。
「それでは、願いをかなえてあげます。 でも、魔法使いでいられるのは3ヶ月の間だけですよ。」
フーちゃんは、念願の魔法使いになりました。
そして、今までの3年間考えていたことを実行できる日がやってきたのです。
「女神様、ありがとうございます。」
フーちゃんは女神様にお礼を言いました。
「これから何がおころうとも、私が守っています。 勇気をもって、精一杯おやりなさい。」
女神様に励まされて、フーちゃんはほうきに乗って、大空に飛び出しました。
なれないほうきに乗ったフーちゃんはなんとか、戦っている国にたどり着き、次々と子供達を魔法でプルプル島に運びました。
3ヶ月間、フーちゃんは休まず子供達を救いました。
プルプル島の人々が子供たちのために協力しあったおかげで、子供達は仲良く生活できるようになりました。
そして今日は、平和を祈って各国の子供達が踊りをくりひろげます。
「旗が掲げられて80年もたっているというのに、ほんとうに美しい星だこと。」
隊員達は、地球の人々にこの「キトン」のことを早く話したいという想いで、警備船の窓から、だんだん小さくなっていく「キトン」をいつまでも見つめていました。
1992.10.18 (Sun)
創作バレエ 『AWAKENING ? めざめる ?』
【創作バレエ 『AWAKENING ? めざめる ?』】
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1992年10月18日(日) 午後6時開演
ところ : 長崎市公会堂
【教室の情景】
突然、教室の窓ガラスが割れ、ボールが飛び込んできました。
私は、そのボールをすぐ拾うと、窓の外に見知らぬ少女が立っていました。
クラスメイトが驚いて騒ぎ始めた頃には、少女の姿はありませんでした。
きっと先生に叱られると思ったのかしら?
ボールを先生に渡すと、すぐに授業は再開されました。
私は、先程の少女のことが気になって勉強どころではありませんでした。
そして私は、ふっと思ったのです。
それは、学校を終えてから塾で勉強し、家へ帰ると宿題の山という毎日、どうして1日中、こんなに勉強をしなければいけないのでしょう。
すると、私の耳もとで
「そうですよ。 どうして勉強しているのですか。」
という声に「えっ」と見ると、先程の少女でした。
よく見ると、少女の背中に羽根がついています。
驚いて声を出そうとしたその時、少女に口をふさがれ
「声を出しても無駄ですよ。 私の姿は、あなたしか見えないのですから。 私は、あなたの心の中に住んでいる精なのです。」
私は何が何だかわかりませんでしたが、不思議な事に心がうきうきしてきました。
そして少女ではなく、私の心の精が
「今日、思いきって塾を休んで、農家の人々に逢いにいきましょう。」
と誘ってきたので、私はうなづきました。
ちょうどその時、授業終了のベルが鳴り響きました。
【農家の情景】
今年は例年にない豊作で、農家は稲刈りをしていました。
私は初めて稲刈りの様子を見て、とても感激しました。
今夜は結婚式の前夜祭だそうで、花嫁さんのお友達や村の人々が広場に集まってきました。
花嫁さんの綺麗なこと。
私は花嫁さんにあこがれてしまいました。
私は、両親に気づかれず、家に帰ってきました。
家の前の川には蛍が飛びかい、今夜は特にステキな夜に感じられ、いつのまにか深い眠りにつきました。
【町の情景】
私の心の精は
「今日は町へいきましょう。」
と言いました。
私の家は丘の上にあり、母は毎日車で町まで買い物に出掛けます。
私はいつも母と一緒に行って見たいと、思っていました。
私が塾に行く時間には、母は町から家に帰っている頃です。
さぁ町へ行きましょう。
昨日の農家を過ぎ、町へ降りて行きました。
塾を休んで、2日目は時計屋さん、3日目は靴屋さん、4日目は小鳥屋さん、5日目は洋服の仕立て屋さん、そして6日目は花屋さん。
ところがこの花屋さんで財布がなくなっていることに気づき、困っていると家にいるはずの母にばったり逢ってしまいました。
今まで塾を休んでいた事を、母にわかってしまいました。
【家の情景】
私は、さんざん両親に叱られました。
自分の部屋にもどった時、涙はかれはて頭の中は、混乱していました。
すると、私の心の精が現われ
「この6日間、それぞれ一生懸命に仕事をしていた人々の事を思い出してごらん。」
と言って消えました。
私は、ひとつひとつ思い出してみると時計屋さんでの話が、心に浮かんできました。
「おじさんがこどもの頃、時計は皆さんに時を知らせるとても重大な役目をしていることを知り、時計を造ることを素晴らしいことだと思い、おじさんは時計屋さんになりたいと一生懸命勉強しました。 今では、仕事に誇りをもって毎日、新しい時計造りにチャレンジしています。」
私は「これだわ。」と思いました。
私はただ、言われるままに勉強していた事に気づいたのです。
私は私の将来の夢を持って、そのために勉強しようと心から思いました。
【教室の情景】
私はいつもの様に教室に入ると、クラスメイトから
「両親に内緒で塾をお休みして、あなたは悪い子ね。」
と言われて驚きました。
私は、そこでクラスメイトに塾を休み農家や町に出掛けたわけを説明し、クラスメイトにメッセージを告げました。
「あなたの将来の夢は何ですか?」
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1992年10月18日(日) 午後6時開演
ところ : 長崎市公会堂

突然、教室の窓ガラスが割れ、ボールが飛び込んできました。
私は、そのボールをすぐ拾うと、窓の外に見知らぬ少女が立っていました。
クラスメイトが驚いて騒ぎ始めた頃には、少女の姿はありませんでした。
きっと先生に叱られると思ったのかしら?
ボールを先生に渡すと、すぐに授業は再開されました。
私は、先程の少女のことが気になって勉強どころではありませんでした。
そして私は、ふっと思ったのです。
それは、学校を終えてから塾で勉強し、家へ帰ると宿題の山という毎日、どうして1日中、こんなに勉強をしなければいけないのでしょう。

「そうですよ。 どうして勉強しているのですか。」
という声に「えっ」と見ると、先程の少女でした。
よく見ると、少女の背中に羽根がついています。
驚いて声を出そうとしたその時、少女に口をふさがれ
「声を出しても無駄ですよ。 私の姿は、あなたしか見えないのですから。 私は、あなたの心の中に住んでいる精なのです。」
私は何が何だかわかりませんでしたが、不思議な事に心がうきうきしてきました。

「今日、思いきって塾を休んで、農家の人々に逢いにいきましょう。」
と誘ってきたので、私はうなづきました。
ちょうどその時、授業終了のベルが鳴り響きました。
【農家の情景】
今年は例年にない豊作で、農家は稲刈りをしていました。
私は初めて稲刈りの様子を見て、とても感激しました。
今夜は結婚式の前夜祭だそうで、花嫁さんのお友達や村の人々が広場に集まってきました。
花嫁さんの綺麗なこと。
私は花嫁さんにあこがれてしまいました。
私は、両親に気づかれず、家に帰ってきました。
家の前の川には蛍が飛びかい、今夜は特にステキな夜に感じられ、いつのまにか深い眠りにつきました。
【町の情景】
私の心の精は
「今日は町へいきましょう。」
と言いました。
私の家は丘の上にあり、母は毎日車で町まで買い物に出掛けます。
私はいつも母と一緒に行って見たいと、思っていました。
私が塾に行く時間には、母は町から家に帰っている頃です。
さぁ町へ行きましょう。
昨日の農家を過ぎ、町へ降りて行きました。
塾を休んで、2日目は時計屋さん、3日目は靴屋さん、4日目は小鳥屋さん、5日目は洋服の仕立て屋さん、そして6日目は花屋さん。
ところがこの花屋さんで財布がなくなっていることに気づき、困っていると家にいるはずの母にばったり逢ってしまいました。
今まで塾を休んでいた事を、母にわかってしまいました。
【家の情景】
私は、さんざん両親に叱られました。
自分の部屋にもどった時、涙はかれはて頭の中は、混乱していました。
すると、私の心の精が現われ
「この6日間、それぞれ一生懸命に仕事をしていた人々の事を思い出してごらん。」
と言って消えました。
私は、ひとつひとつ思い出してみると時計屋さんでの話が、心に浮かんできました。
「おじさんがこどもの頃、時計は皆さんに時を知らせるとても重大な役目をしていることを知り、時計を造ることを素晴らしいことだと思い、おじさんは時計屋さんになりたいと一生懸命勉強しました。 今では、仕事に誇りをもって毎日、新しい時計造りにチャレンジしています。」
私は「これだわ。」と思いました。
私はただ、言われるままに勉強していた事に気づいたのです。
私は私の将来の夢を持って、そのために勉強しようと心から思いました。
【教室の情景】
私はいつもの様に教室に入ると、クラスメイトから
「両親に内緒で塾をお休みして、あなたは悪い子ね。」
と言われて驚きました。
私は、そこでクラスメイトに塾を休み農家や町に出掛けたわけを説明し、クラスメイトにメッセージを告げました。
「あなたの将来の夢は何ですか?」
1991.10.06 (Sun)
創作バレエ 『あとかたづけは』
【創作バレエ 『あとかたづけは』】
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1991年10月6日(日) 午後4時開演
ところ : 長崎市公会堂
【第1部】
姪から手紙が来ました。
グレリット伯母さんは毎月、可愛い姪達に本を送っていました。
そして、お礼の手紙や本の感想が届くことが、何より楽しみでした。
今日は、どのような事を書いてきたのかしら、さっそく手紙を読み始めました。
伯母様、私達はとっても素晴らしい体験をしました。
そして、深く反省いたしました。
ある夜のことです。 月の色がグリーンに変わっていましたので、妹も私も驚いてしまいました。
翌朝、母にその事を話しましたが、笑って信じてもらえませんでした。

グリーンの月は何日も続きました。
私たちの目が悪くなっているのかしらと、心配になってきました。
ある朝、目が覚めると目の前に、メルヘンの主人公やキャラクター達がいます。
私達はとうとう目がおかしくなったのだわ。
妹が夢かもしれないわと言うので、お互いのほっぺたをつねってみました。
痛い、夢ではないわ、私達はどうしたのでしょう。
すると、長靴をはいた猫が私達に話しかけてきたのです。
「お二人を驚かせてすみません。 大事な事をお伝えするために、ここへやってきました。 実は、いつもお二人の部屋が散らかっているので、大変困っているのです。 使ったものは元の位置に戻して、大切に使っていただかないと、メルヘンの世界の悪の部屋の鍵が開いて、魔王が現われ、おおあばれするのです。 そればかりか、人間の世界も争いが絶えなくなり、大変なことになるのです。 残念なことに、もう悪の部屋の鍵が開くのは、時間の問題となってきています。 それは、月がグリーンに見えるからです。 私達はメルヘンの使者として、世界中の子供達に忠告して回っているのです。」
私達姉妹のために大変な事態になったことを知り、心からメルヘンの使者たちに謝りました。
それでは片付けましょうと、私の部屋を皆で片付けていると、愛犬のダンボが飛び込んで来て、大混乱になってしまいました。
私と妹はダンボを追いかけましたが、なかなか捕まりません。
やっとのことで、ダンボは私達の部屋から出て行きました。
メルヘンの使者たちは、庭に逃げ出してしまいました。
私達が庭に来て見ると、ティンカーベルの魔法の杖が折れて、皆が困っていました。
この魔法の杖で人間の世界に来たのですが、折れてしまったのでは、メルヘンの世界に帰ることが出来ません。
ダンボ騒動で、ほんとうに困った事になってしまいました。
すると、ティンカーベルが思い出したように
「月下美人の花が咲いた時に、私の魔法が使うことが出来ます。 月下美人を捜して下さい。」
と皆に告げました。
さっそく皆で、手分けして捜す事にしました。
私と妹に赤頭巾ちゃんは
「月下美人を捜すには、幼精に聞いた方がはやく見つけることが出来るかもしれません。 そのためには、お二人の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせるのです。」
と教えて下さいました。
赤頭巾ちゃんを信じて、この庭で四ッ葉のクローバーを捜すことにしました。
やっと四ッ葉のクローバーを見つけました。
私は頭の上に四ッ葉のクローバーをのせました。
すると、どうでしょう。 あっというまに三人の幼精が見えました。
なんてステキな幼精でしょう。
三ッ葉で飾られていましたので、三ッ葉の精とわかりました。
うっとりしていると、妹が、私にも見せてという声に、私は我にかえり、妹の頭の上に私の四ッ葉のクローバーをのせてあげました。
妹も感激していました。
私は妹から又、四ッ葉のクローバーを頭の上にのせてもらい、月下美人の事を三ッ葉の精に尋ねました。
三ッ葉の精は
「知りません。」
と首を横に振りました。
がっかりしました。
すると、三ッ葉の精がさっと四ッ葉のクローバーを出して
「これで、妹さんも幼精とお話が出来るでしょう。」
と妹の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせて下さいました。
妹は大変喜びました。
そして私達は、三ッ葉の精にお礼を言って別れました。
なかなか月下美人は、見つかりません。
メルヘンの使者達も、やはり尋ね回りましたが、月下美人は見つかりませんでした。
庭の奥で何やらこそこそと音がするので、皆で行って見ると、なんと蜘蛛でした。
もう恐ろしくて、家に逃げ帰りました。
妹がお腹がすいたと、べそをかいています。
そういえば今日は、朝から何も食べていませんでした。
私達は家族に知られないように、メルヘンの使者達を台所に連れてきました。
サンドイッチを作って、皆で食べましょうと、パンを取り出しますと、パンの精が現われ、冷蔵庫を開け、サンドイッチの材料を取り出すたびに、幼精が現われ、踊り始めました。
それは、それは、愉快な踊りでした。
一寸法師さんが
「これは何ですか。」
と白い箱を開けると、チェリー、くるみ、チョコレートクッキーに、バタークリームで飾られたケーキでした。
ケーキの精が現われ、私達のために踊ってくれました。
とっても可愛い幼精でした。
お腹がいっぱいになったところで、のどが渇きました。
ミルクを冷蔵庫から取り出そうとすると、又幼精が現われ
「私は、プラウニーと言う幼精です。 私にもミルクを下さい。 その変りに、私が汚れたお皿やコップなど、綺麗に洗ってさしあげましょう。」
と言いますので、ミルクを分けてあげました。
皆がミルクを飲みほしますと、プラウニーは何やら呪文を唱え始めました。
すると、いつのまにか泡が出てきて汚れた食器は、泡の精の中で洗われました。
台所は、どんどん泡だらけになり、私達はとうとう溺れそうになりました。
助けてと大声で呼んでいますと、ダンボが来て助けてくれました。
とんだ災難でした。
そこへ、またまた幼精が現われ
「私は予知能力を持つマリーンです。 メルヘンの世界が、あぶなくなります。 悪の部屋が開いて、魔王がメルヘンのお姫様をさらって行ってしまいます。」
と、私達に告げると、消えてしまいました。
今マリーンの告げたことがほんとうだと、ボヤボヤしていられません。
早く月下美人を捜さないと大変です。
日はもうとっくに沈み、暗くなっていました。
私達はそうっと家を抜け出し、夜の町へ出かけました。
私達姉妹とシンデレラ姫と青い鳥と歩いていると、どら猫がたくさん集まっている所に来てしまいました。
「どら猫さんは、いろんな所を歩いているので、月下美人のことを知っているかもしれません。」
とシンデレラ姫が言いますので、私はどら猫さんに尋ねる事にしました。
「私達はいろんな所を歩いて、いろんな花とも出逢いますが、残念なことにお花さんとはお話し出来ないので、どのお花が月下美人なのか知らないのです。 でも、星さんだと晴れた日にはいつも、空から見渡していますので、きっと月下美人のことを知っていると思います。」
とどら猫さんは教えてくれました。
青い鳥は星さんに逢いに飛んで行き、私達の所に戻ってきました。
「見つかりました。 月下美人は、この近くですよ。」
青い鳥に皆ついて行きました。
ティンカーベルが
「ありました。 この花です。」
やっと、月下美人を見つけました。
【第2部】
魔王が影の女王を招待して宴会をしています。
大きな鳥籠にさらわれたメルヘンのお姫様が入れられて悲しんでいます。
鬼やおおかみは、魔王の侍女達や悪の精の踊りで楽しんでいます。
伯母様、私達は月下美人の花が咲くのを待ち続けました。
お姫様は大丈夫でしょうか。
皆は不安になってきました。
すると、メルヘンの女神が現われ
「勇気を持ちなさい。 お姫様は無事救えます。 魔王は悪の部屋に戻り、又平和なメルヘンになるでしょう。」
と告げると消えてしまいました。
そして、楽しい音楽が聞こえてきました。
「あれはレプラホーンと言って、踊りが大好きな幼精なのです。」
と笑わないお姫様が教えて下さいました。
レプラホーンは私達にきのこ取りの踊りを踊ってくれました。
私達も一緒に踊り始めましたが、その時です。
ものすごい音とともに、月下美人の花が開き始めました。
そして、月下美人の幼精がたくさん現われました。
なんと美しい幼精でしょう。
私と妹は感激しました。
ティンカーベルは、月下美人の幼精に囲まれながら、魔法を唱え始めました。
すると、メルヘンの使者達は次から次へと消えてしまいました。
私と妹は、お姫さまが無事でありますように一生懸命に祈りました。
とつぜん、お姉さん月の色を見てと言う妹の声に月を見ますと、グリーン色だった月が元の色に戻っていました。
私と妹は喜び合いました。
ふと目の前にティンカーベルが現われ
「魔王を悪の部屋に閉じ込め、鍵をかけました。 人間の子供達が忠告を守って下さる限り、決して悪の部屋の鍵は開くことはないでしょう。 お姫様は平和なメルヘンに帰られましたので、王様やお妃様は、大変喜ばれました。 お二人をメルヘンに招待するようにと言われ、お迎えに参りました。 さあメルヘンへ。」
伯母様、私達はメルヘンへ招待されました。
お城には王様とお妃様、そしてお姫様、もちろんメルヘンの使者達がいました。
長靴をはいた猫、青い鳥、シンデレラ姫、赤頭巾ちゃん、一寸法師、笑わないお姫様にティンカーベル、ほんとうにありがとうございました。
私と妹は、王様とお妃様にいつも部屋を綺麗にしていなかったことをお詫びしました。
そして、ご招待して下さった事をお礼を言いました。
長靴をはいた猫さんが剣を上げると、楽しいメルヘンの踊りが、くりひろげられました。
私も妹も踊っているうちに、いつのまにか、自分の部屋に戻っていました。
私達は、やはり夢を見ていたのでしょうか。
伯母様、私も妹も夢だとは信じたくありません。
メルヘンの人達に逢えて、あとかたづけをしないと、皆に迷惑をかけるという、大事な事を体験しました。
最近、母は
「あとかたづけは。」
と言わなくなりました。
伯母様、私も妹も本を送って下さることを楽しみに待っています。
伯母様大好きです。
グレリット伯母さんが、姪の手紙を読み終えた時は、夜になっていました。
グレリット伯母さんは、この頃、月をながめることなど忘れていましたが、月を見たくなりました。
月は黄金のように、まぶしく、グレリット伯母さんの家をやさしく照らしていました。
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
長崎新聞社
と き : 1991年10月6日(日) 午後4時開演
ところ : 長崎市公会堂
【第1部】

グレリット伯母さんは毎月、可愛い姪達に本を送っていました。
そして、お礼の手紙や本の感想が届くことが、何より楽しみでした。
今日は、どのような事を書いてきたのかしら、さっそく手紙を読み始めました。
伯母様、私達はとっても素晴らしい体験をしました。
そして、深く反省いたしました。
ある夜のことです。 月の色がグリーンに変わっていましたので、妹も私も驚いてしまいました。
翌朝、母にその事を話しましたが、笑って信じてもらえませんでした。

グリーンの月は何日も続きました。
私たちの目が悪くなっているのかしらと、心配になってきました。
ある朝、目が覚めると目の前に、メルヘンの主人公やキャラクター達がいます。
私達はとうとう目がおかしくなったのだわ。
妹が夢かもしれないわと言うので、お互いのほっぺたをつねってみました。
痛い、夢ではないわ、私達はどうしたのでしょう。
すると、長靴をはいた猫が私達に話しかけてきたのです。
「お二人を驚かせてすみません。 大事な事をお伝えするために、ここへやってきました。 実は、いつもお二人の部屋が散らかっているので、大変困っているのです。 使ったものは元の位置に戻して、大切に使っていただかないと、メルヘンの世界の悪の部屋の鍵が開いて、魔王が現われ、おおあばれするのです。 そればかりか、人間の世界も争いが絶えなくなり、大変なことになるのです。 残念なことに、もう悪の部屋の鍵が開くのは、時間の問題となってきています。 それは、月がグリーンに見えるからです。 私達はメルヘンの使者として、世界中の子供達に忠告して回っているのです。」
私達姉妹のために大変な事態になったことを知り、心からメルヘンの使者たちに謝りました。
それでは片付けましょうと、私の部屋を皆で片付けていると、愛犬のダンボが飛び込んで来て、大混乱になってしまいました。
私と妹はダンボを追いかけましたが、なかなか捕まりません。
やっとのことで、ダンボは私達の部屋から出て行きました。
メルヘンの使者たちは、庭に逃げ出してしまいました。
私達が庭に来て見ると、ティンカーベルの魔法の杖が折れて、皆が困っていました。
この魔法の杖で人間の世界に来たのですが、折れてしまったのでは、メルヘンの世界に帰ることが出来ません。
ダンボ騒動で、ほんとうに困った事になってしまいました。
すると、ティンカーベルが思い出したように
「月下美人の花が咲いた時に、私の魔法が使うことが出来ます。 月下美人を捜して下さい。」
と皆に告げました。
さっそく皆で、手分けして捜す事にしました。
私と妹に赤頭巾ちゃんは
「月下美人を捜すには、幼精に聞いた方がはやく見つけることが出来るかもしれません。 そのためには、お二人の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせるのです。」
と教えて下さいました。
赤頭巾ちゃんを信じて、この庭で四ッ葉のクローバーを捜すことにしました。
やっと四ッ葉のクローバーを見つけました。
私は頭の上に四ッ葉のクローバーをのせました。
すると、どうでしょう。 あっというまに三人の幼精が見えました。
なんてステキな幼精でしょう。
三ッ葉で飾られていましたので、三ッ葉の精とわかりました。
うっとりしていると、妹が、私にも見せてという声に、私は我にかえり、妹の頭の上に私の四ッ葉のクローバーをのせてあげました。
妹も感激していました。
私は妹から又、四ッ葉のクローバーを頭の上にのせてもらい、月下美人の事を三ッ葉の精に尋ねました。
三ッ葉の精は
「知りません。」
と首を横に振りました。
がっかりしました。
すると、三ッ葉の精がさっと四ッ葉のクローバーを出して
「これで、妹さんも幼精とお話が出来るでしょう。」
と妹の頭の上に四ッ葉のクローバーをのせて下さいました。
妹は大変喜びました。
そして私達は、三ッ葉の精にお礼を言って別れました。
なかなか月下美人は、見つかりません。
メルヘンの使者達も、やはり尋ね回りましたが、月下美人は見つかりませんでした。
庭の奥で何やらこそこそと音がするので、皆で行って見ると、なんと蜘蛛でした。
もう恐ろしくて、家に逃げ帰りました。
妹がお腹がすいたと、べそをかいています。
そういえば今日は、朝から何も食べていませんでした。
私達は家族に知られないように、メルヘンの使者達を台所に連れてきました。
サンドイッチを作って、皆で食べましょうと、パンを取り出しますと、パンの精が現われ、冷蔵庫を開け、サンドイッチの材料を取り出すたびに、幼精が現われ、踊り始めました。
それは、それは、愉快な踊りでした。
一寸法師さんが
「これは何ですか。」
と白い箱を開けると、チェリー、くるみ、チョコレートクッキーに、バタークリームで飾られたケーキでした。
ケーキの精が現われ、私達のために踊ってくれました。
とっても可愛い幼精でした。
お腹がいっぱいになったところで、のどが渇きました。
ミルクを冷蔵庫から取り出そうとすると、又幼精が現われ
「私は、プラウニーと言う幼精です。 私にもミルクを下さい。 その変りに、私が汚れたお皿やコップなど、綺麗に洗ってさしあげましょう。」
と言いますので、ミルクを分けてあげました。
皆がミルクを飲みほしますと、プラウニーは何やら呪文を唱え始めました。
すると、いつのまにか泡が出てきて汚れた食器は、泡の精の中で洗われました。
台所は、どんどん泡だらけになり、私達はとうとう溺れそうになりました。
助けてと大声で呼んでいますと、ダンボが来て助けてくれました。
とんだ災難でした。
そこへ、またまた幼精が現われ
「私は予知能力を持つマリーンです。 メルヘンの世界が、あぶなくなります。 悪の部屋が開いて、魔王がメルヘンのお姫様をさらって行ってしまいます。」
と、私達に告げると、消えてしまいました。
今マリーンの告げたことがほんとうだと、ボヤボヤしていられません。
早く月下美人を捜さないと大変です。
日はもうとっくに沈み、暗くなっていました。
私達はそうっと家を抜け出し、夜の町へ出かけました。
私達姉妹とシンデレラ姫と青い鳥と歩いていると、どら猫がたくさん集まっている所に来てしまいました。
「どら猫さんは、いろんな所を歩いているので、月下美人のことを知っているかもしれません。」
とシンデレラ姫が言いますので、私はどら猫さんに尋ねる事にしました。
「私達はいろんな所を歩いて、いろんな花とも出逢いますが、残念なことにお花さんとはお話し出来ないので、どのお花が月下美人なのか知らないのです。 でも、星さんだと晴れた日にはいつも、空から見渡していますので、きっと月下美人のことを知っていると思います。」
とどら猫さんは教えてくれました。
青い鳥は星さんに逢いに飛んで行き、私達の所に戻ってきました。
「見つかりました。 月下美人は、この近くですよ。」
青い鳥に皆ついて行きました。
ティンカーベルが
「ありました。 この花です。」
やっと、月下美人を見つけました。
【第2部】
魔王が影の女王を招待して宴会をしています。
大きな鳥籠にさらわれたメルヘンのお姫様が入れられて悲しんでいます。
鬼やおおかみは、魔王の侍女達や悪の精の踊りで楽しんでいます。
伯母様、私達は月下美人の花が咲くのを待ち続けました。
お姫様は大丈夫でしょうか。
皆は不安になってきました。
すると、メルヘンの女神が現われ
「勇気を持ちなさい。 お姫様は無事救えます。 魔王は悪の部屋に戻り、又平和なメルヘンになるでしょう。」
と告げると消えてしまいました。
そして、楽しい音楽が聞こえてきました。
「あれはレプラホーンと言って、踊りが大好きな幼精なのです。」
と笑わないお姫様が教えて下さいました。
レプラホーンは私達にきのこ取りの踊りを踊ってくれました。
私達も一緒に踊り始めましたが、その時です。
ものすごい音とともに、月下美人の花が開き始めました。
そして、月下美人の幼精がたくさん現われました。
なんと美しい幼精でしょう。
私と妹は感激しました。
ティンカーベルは、月下美人の幼精に囲まれながら、魔法を唱え始めました。
すると、メルヘンの使者達は次から次へと消えてしまいました。
私と妹は、お姫さまが無事でありますように一生懸命に祈りました。
とつぜん、お姉さん月の色を見てと言う妹の声に月を見ますと、グリーン色だった月が元の色に戻っていました。
私と妹は喜び合いました。
ふと目の前にティンカーベルが現われ
「魔王を悪の部屋に閉じ込め、鍵をかけました。 人間の子供達が忠告を守って下さる限り、決して悪の部屋の鍵は開くことはないでしょう。 お姫様は平和なメルヘンに帰られましたので、王様やお妃様は、大変喜ばれました。 お二人をメルヘンに招待するようにと言われ、お迎えに参りました。 さあメルヘンへ。」
伯母様、私達はメルヘンへ招待されました。
お城には王様とお妃様、そしてお姫様、もちろんメルヘンの使者達がいました。
長靴をはいた猫、青い鳥、シンデレラ姫、赤頭巾ちゃん、一寸法師、笑わないお姫様にティンカーベル、ほんとうにありがとうございました。
私と妹は、王様とお妃様にいつも部屋を綺麗にしていなかったことをお詫びしました。
そして、ご招待して下さった事をお礼を言いました。
長靴をはいた猫さんが剣を上げると、楽しいメルヘンの踊りが、くりひろげられました。
私も妹も踊っているうちに、いつのまにか、自分の部屋に戻っていました。
私達は、やはり夢を見ていたのでしょうか。
伯母様、私も妹も夢だとは信じたくありません。
メルヘンの人達に逢えて、あとかたづけをしないと、皆に迷惑をかけるという、大事な事を体験しました。
最近、母は
「あとかたづけは。」
と言わなくなりました。
伯母様、私も妹も本を送って下さることを楽しみに待っています。
伯母様大好きです。
メアリー .
グレリット伯母さんが、姪の手紙を読み終えた時は、夜になっていました。
グレリット伯母さんは、この頃、月をながめることなど忘れていましたが、月を見たくなりました。
月は黄金のように、まぶしく、グレリット伯母さんの家をやさしく照らしていました。