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1994.07.22 (Fri)

創作バレエ 『魔法使いになったフーちゃん』

【創作バレエ 『魔法使いになったフーちゃん』】
主催 : 前田佳寿美バレエスタジオ
後援 : 長崎市教育委員会
     長崎新聞社
と き : 1994年7月22日(金)   午後6時30分開演
ところ : 長崎市公会堂



創作バレエ 『魔法使いになったフーちゃん』「なんて美しい星でしょう。」
はじめてこの星を見て、警備隊の一人は思わず声を上げました。
地球を出発して7年の歳月が経っていましたが、これほど美しい星を見たことはありません。

隊員が警備船の望遠レンズを覗いてみると、女の子がほうきに乗った図柄の旗がたくさん目に入ってきました。

この星のことを調べてみると、星の名は「キトン」。
地球と大きさや自然条件がよく似ていて住んでいる人々も地球人と区別がつかない程似ているようです。
さらに興味深いのは80年前、当時「キトン」は、惑星の中でも最も醜い星の一つとされていたことです。

その当時の「キトン」では、国々が常時戦乱に巻き込まれ、そのため自然破壊が進み、「キトン」に住む人々は先行き不安な毎日を過ごしていました。

そんなある日、ほうきに乗った一人の女の子が突然現われ、戦乱のキトンの子供達を一人のこらずどこかへ連れ去ってしまうという大事件が起きました。

大人達が子供の行方を捜すことに夢中になっているうちに、いつのまにか戦争をしている国はなくなりました。

「子供達はどこへ!」

あらゆる国を捜した末、やっとのことで子供達の居場所を突き止めることができました。
子供達は「プルプル島」で仲良く暮らしていました。
子供達の幸せな笑顔をはじめて見た大人達は、熱い涙を流しました。

その後、人々の努力の結果、「キトン」には平和な生活と美しい自然が戻りました。
そして、「キトン」の象徴として、女の子がほうきに乗った図柄の旗が星中の国々に立てられました。

この女の子は、「プルプル島」に生まれ、幼いころには風船みたいに太っていたのでフーちゃんと名付けられました。
フーちゃんは、いろんな空想をして考える事が大好きな9才の女の子になりました。



ある日のこと、フーちゃんが野原でお花を摘んでいると大きな蟻が現われました。
フーちゃんは、ちょっとびっくりしましたが、一生懸命に働いている蟻をみて、お花を摘むことに夢中で野原を荒らしてしまったことに気がつきました。

「蟻さん、大切な野原を荒らしてごめんなさい」
フーちゃんは、あやまりました。

蟻はフーちゃんの顔をしばらくみると、ゆっくりとお花畑の中に歩いていきました。
そこにはきれいな色をした石がありました。
その石は、フーちゃんの宝物になりました。



12才になったフーちゃんはジョギングを始めました。
森の小道を走ると風がフーちゃんにささやきます。

「野原へ行きましょう。」

風にさそわれて野原に来たフーちゃんは、風に乗ってワルツを踊っているタンポポの精を見て感動しました。

「なんて素敵なワルツでしょう。」

フーちゃんは、とても幸せな気持ちになりました。
また風がフーちゃんにささやきました。

「麦畑に行きましょう。」

フーちゃんは、また風にさそわれ麦畑に来ました。
かかしは寂しそうに立っていました。

フーちゃんは空想しました。
すると、かかしは両足で歩くことが出来るようになり大喜び。
金色色の麦の精も現われ、二人で楽しく踊り始めました。



フーちゃんは毎朝ジョギングをして頑張りました。
ある朝、いつものようにジョギングから帰ってきたフーちゃんは、うっかりごみ箱を倒してしまい、お部屋には紙屑だらけになってしまいました。

「まあ、どうしましょう。 でも、こんなにたくさんの紙を何につかったのかしら。」

フーちゃんが考えていると、お母さんの声がします。
慌ててモップを持ってきて片付けました。

「あら、片付けたはずの紙屑・・・。」
まだひとつ残っていました。

ふと見ると、変わった文字がたくさん書いてあります。
何が書いてあるのかフーちゃんには読めません。
お母さんにたずねることにしました。

お母さんは最初、ちょっと困った顔をされましたが、やさしくフーちゃんを呼びよせ読んでくださいました。

「今、『キトン』の国々の間では戦争が絶えることなく起こっています。 誰もが傷つき、罪もないたくさんの人が死んでいきます。 悲しみのなかに残された人たちは、食べ物も、住むところもありません。 子供たちも、悲しい思いをしています。 そして、いつの日か『プルプル島』も戦火に焼かれる日がくるでしょう・・・」

フーちゃんは、お母さんの話を聞いているうちにとても悲しくなって泣いてしまいました。



それからフーちゃんは毎日、9才のときに拾った宝物の石に願い事をするようになりました。
15才になったとき、いつものように願い事をしていると石が突然、キラキラと輝き綺麗な女の人が現われ、「私はキトンの女神。 あなたのやさしく、素直な心に逢いにきました。 きょうは一つだけあなたの願いをかなえてあげましょう。」

フーちゃんは、「私を、魔法使いにしてください」と言いました。
キトンの女神は、フーちゃんが、そのときのひらめきで魔法使いになろうと思ったのではないことを、ずっと前から見ていて御存知でした。

「それでは、願いをかなえてあげます。 でも、魔法使いでいられるのは3ヶ月の間だけですよ。」

フーちゃんは、念願の魔法使いになりました。
そして、今までの3年間考えていたことを実行できる日がやってきたのです。

「女神様、ありがとうございます。」
フーちゃんは女神様にお礼を言いました。

「これから何がおころうとも、私が守っています。 勇気をもって、精一杯おやりなさい。」
女神様に励まされて、フーちゃんはほうきに乗って、大空に飛び出しました。

なれないほうきに乗ったフーちゃんはなんとか、戦っている国にたどり着き、次々と子供達を魔法でプルプル島に運びました。
3ヶ月間、フーちゃんは休まず子供達を救いました。



プルプル島の人々が子供たちのために協力しあったおかげで、子供達は仲良く生活できるようになりました。
そして今日は、平和を祈って各国の子供達が踊りをくりひろげます。



「旗が掲げられて80年もたっているというのに、ほんとうに美しい星だこと。」
隊員達は、地球の人々にこの「キトン」のことを早く話したいという想いで、警備船の窓から、だんだん小さくなっていく「キトン」をいつまでも見つめていました。


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18:30  |  創作バレエ 『魔法使いになったフーちゃん』
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